三峯神社(押切)
冨士嶽神社から東へ100m程歩くと、三峯様と書かれた額の掛かった鳥居が見えて来る(熊谷市押切)。
「埼玉の神社 大里 北葛飾 比企」の八幡若宮八幡神社の頁には、上押切地内に結成されている講には手長講、榛名講、石尊講、三峰講があると書かれているので、こちらは三峰講で祀られている三峯社なのだろう。
二の鳥居。
三の鳥居と三峯社。
不思議とこれより先に進む気になれなかったので、ここで礼拝。
東側の畑との境に鎮座する地蔵尊と水神宮、天神宮。
冨士嶽神社(押切)
八幡若宮八幡神社から東へ250m程歩いて行くと、御正吉見堰幹線用水路脇に冨士嶽神社(熊谷市押切700)が鎮座している。
尤も、その左側の双体道祖神ばかりが知られていて、冨士嶽神社の方は忘れられがちであるようなのだが。
冨士嶽神社。
右側に明治元戊辰年十二月十五日とあるので1869年に建てられたものとわかるのだが、左はちょっと読み取り難い。二品太畢勆斌仁親王のように見えたが、誰だよそれ。で、少し検索をかけてみたところ、有栖川宮熾仁親王が嘉永二年(1849)に大宰帥に任命され、慶応三年(1867)に二品に昇叙しているので、二品太宰帥熾仁親王と読むのが正解かな。
双体道祖神と聖観音。
双体道祖神は全高76cm、全幅27.5cmで寛政十年八月十一日銘があるそうなのだが、聖観音についての記述はあまり見当たらない。
『江南町指定文化財 寛政銘双体道祖神像
所 在 地 江南町大字押切七○○
所 有 者 押切区
指定年月日 平成九年一月二○日
双体道祖神は野の石仏の中では異色で、白日下男女が愛情を表現するという双像に造られる。
道祖神は日本古来の邪悪をさえぎる塞神と中国渡来の道祖神信仰との習合で道陸神(どうろくじん)やサイノカミと呼ばれ、村境や峠、辻、橋のたもとに立って外から入ってくる疫病や悪霊のたぐいを防ぎ、村人を守ってきた。
押切の双体道祖神はドウロクジンサマと呼ばれており、足の神様としての信仰がみられ、足の病気になると大きなわらじをつくって奉納している。
民俗の伝承という観点から見ても興味深く、町内唯一の資料として貴重である』
八幡若宮八幡神社(押切)
荒川に架かる押切橋南詰下に鎮座する八幡若宮八幡神社(熊谷市押切1056-1)。
『当社は、文政十年(1827)まで、現在地から北西一キロメートルのところの荒川河岸(現荒川河川内)に鎮座していた。「押切の四角の森」と呼ばれた社地は、樹齢数百年を経た老杉が林立していたことから、旅人が釜伏峠から眺めると、必ず目に止まったという。四角の森というのは、遠望した折の森の形を形容したものである。しかし、この森も、文化六年(1809)の水害で一部水没、更に、文政七年(1824)、次いで文政十年の洪水で流失した。本殿のみは、難を逃れて近くの用水の側(元八幡)に仮遷座していたが、文政十二年、当社をそのまま放置するのを憂えた村人は、祭祀を永続すべき地を現在地に定め、遷座した。
創建は、水害で史料を失い明らかではないが、口碑に、当地を領した武将が戦勝を祈願し、その報賽で社殿を建立したと伝えている。
社名は、長く「八幡社」であったが、明治初年廃寺となった本山派修験、御正山東陽寺若宮坊の境内にあった「若宮権現社」を明治五年に合祀して、「八幡若宮八幡神社」と改めた。若宮権現社は「風土記稿」によると、天平勝宝三年(751)の創建を伝える古社である。
祀職は、当地累代の篠田和義家が務める。同家は、宝暦十年(1760)の四組木綿手繦(よくみゆうだすき)許状をはじめとする江戸期の神道裁許状を六点所蔵している』
(「埼玉の神社 大里 北葛飾 比企」より抜粋)
『八幡若宮八幡神社
所在地 熊谷市押切
村社八幡若宮八幡神社は、明治初年まで八幡宮と称したが、明治五年上押切御正山若宮坊東陽寺の氏神若宮八幡社の祭神仁徳天皇を移転合祀し、同時に現在の名称にされた。
祭神は誉田別命、御神体は明治初年まで誉田別命の乗馬の像だったが、合祀の際これを徹し御幣とした。なお、大正四年、大嘗祭記念として鏡を御神体として奉斎した。末社には、主神の神明宮ほか一社がある。
本社の創立年代は不詳である。当社は、文化六年(1809)、同七年文政十年(1827)と度々の大洪水で流失したため、用水堀のほとり(元八幡)に仮本殿をつくり、文政十二年に現在地に遷座した。
新年祭は二月十九日、感謝祭は十二月一日、大祭は十月十五日で、大祭当日は「ササラ獅子舞」が奉納される。
平成十一年十二月』
拝殿。
拝殿前の狛犬。
横から。
外側の狛犬。
神明社・稲荷社・戸隠社合殿。
神明大神宮。
側面には「萬延元庚申年四月吉日」「武刕大里郡 世話人 上押切中 東陽寺持」と刻まれている。ちなみに万延元年は1860年。
社殿裏にはマムシ注意の貼り紙が。マムシの活動時期は四月から十月頃であるそうなので、今は注意した方が良い。